今回は、エシカル・サファイアが採掘される
スリランカの採掘場の様子について、
ご紹介いたします。

スリランカの採掘場について

鉱物資源が採掘される場所=鉱山(それこそ険しい山)
をイメージされる方も多いかもしれませんが、
宝石が採掘される地域によっても鉱床は様々です。

スリランカは「漂砂鉱床(ひょうさこうしょう)」という、
鉱山から雨や川によって削り取られた土砂が堆積して出来た鉱床です。

そのため、草むらや田園風景の中に採掘場がありますし、
ラトナプラ近くにある川でも採掘作業が行なわれています。

こちらは、ラトナプラ周辺の川で採掘している風景。

スリランカの採掘場例(川)

スリランカは、どこを掘っても原石が出てくると
言われているほど、宝石の宝庫なのです。

こうして聞くと、どこでも好きに採掘作業を
して良いのかと錯覚してしまいますが、
採掘するためには、例え自身で
所有している土地でも、
国から採掘の許可を得なければなりません。

これは、限りある資源を守るための大事な制度なのです。

スリランカでの採掘方法は、
井戸掘り(縦穴掘り)が主流で、
その名の通り、井戸のように細く深く宝石堆積層に
たどり着くまで掘り進めます。
中には、40〜50メートルも掘り、
原石を採掘している場所もあります。

しかし、この採掘方法は、大変過酷な上に
命の危険を伴います。

酸素の供給が上手く行かずに窒息死したり、
有毒ガスを吸引して死亡したり、
縦に穴を掘った後、横に掘り進めている途中で
生き埋めにあい、命を落としたりする鉱夫もいます。

安全には十分気をつけて採掘作業を行なってはいますが、
命がけで原石を求めて採掘しているのです。
雨季の採掘作業は、地盤が緩み易いため、
特に神経を張って作業しています。

天然資源の早期枯渇を招くとして、
一時期使用禁止されていた重機ですが、
近年、政府の許可がおりれば使用出来るようになり、
現在スリランカでは大規模な採掘作業も行なわれています。

 

EARTHRISEとパートナーシップを結ぶ採掘場

〜緑豊かな自然の中、環境に配慮して採掘される原石たち〜

ラトナプラから更に30分ほど山の方へ車を走らせると、
EARTHRISEが取り引きをしている小規模の採掘場へ到着します。

こちらがオーナーのテンナコーンさんの敷地にある採掘場。

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

オーナーのテンナコーンさんは、
この辺りの土地を所有しており、
30年以上に渡り採掘作業に従事しているベテランです。

ニッコリ笑うと前歯が何本も無いため、
一瞬ドッキリとしますが、
とても心優しい素晴らしい方です。

現在は、息子さんと一緒に毎日採掘場に立っています。

パラソルを持った息子さんが監督中。

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

採掘場の一日

10:00 採掘作業スタート
12:00 昼食&紅茶タイム
13:00 再び採掘作業スタート
17:00 日没近くなると作業終了(天候により早まる日も)

このようにして、
1日に6時間ほど採掘作業を行なっています。

この採掘場では、ショベルカーなどの
重機は使用しないで、
スリランカの伝統的な方法を用いて
採掘をしています。

途中、掘った穴に土砂が流れ込まないように
するため、ゴムの木を板状にしたものを周囲に
敷き詰めながら採掘作業を行っていきます。
ここでは、穴は10メートル程までしか掘りません。

こちらが、採掘の様子です。

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

土砂が穴の中に崩れてこないよう、
ゴムの木で壁を作ります。
溢れてくる地下水をポンプで
地上へ吸い上げながら、
地道に掘り続けています。

7メートル掘るのに約1ヶ月かかり
そこから掘り出した土砂をザルに盛り、
水で土砂を漉(こ)して原石を探す作業を
毎日繰り返します。

掘り出された大量の土砂!

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

この土砂の中に、美しいサファイアの原石が眠っています。

やっと原石に出会えたとしても、
宝石質の原石は10%とわずか。
本当に大変な作業です。

炎天下の中、重労働の手作業をしている訳ですから、
重機で周囲を一気に掘り、
原石を探す方が効率は良いかもしれません。

しかし、その方法は資源の枯渇を招くだけでなく、
自然環境にも大きな負荷がかかります。

例えば、大量の土砂を漉(こ)すためには、
莫大な量の水を必要とします。

土砂を近くの川で漉(こ)す作業を
している採掘場も多く、そうすると、
流れた何トンもの泥が川に住む生態系を
破壊する恐れがあります。

そのため、この採掘場では、
まず敷地内に溜め池を作ります。
そこへ、川から引き上げた水を流し込み、
土砂を漉(こ)す作業を行なっています。
また、掘った穴は元通りにし、
再び緑豊かな大地に戻します。

このように、出来るだけ自然や生態系への
負担を最小限に抑え、
原石を採掘しているのです。

近代的な重機を使わずに採掘作業をするため、
大量の原石を見つけることは難しいです。
しかし、自然の恵みに感謝し、
必要以上に採らないこと。

限りある資源や自然を大切にすることは、
とても大事なことだと考えています。

 

どんな人たちが働いているの?

ここで働く鉱夫たちは、
20歳半ばから60歳位です。
若手が力の必要な採掘作業を行い、
年配者はゴムの木を板状に整えたり、
ホースなどの修理をしたりと、
年齢によって仕事を分担しています。

ゴムの木を板状にしている年配鉱夫。

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

彼らはスリランカの平均年収
(2,836アメリカドル/2011年)と
同等の賃金を受け取っています。

この金額は、
スリランカの鉱夫の平均年収の約2倍、
もしくはそれ以上にあたります。
更に、大きな原石や良質な原石が採れた時には、
販売価格の5%をボーナスとして
全員に支給しています。

給料とは別に、
昼食のカレーと紅茶はオーナーが用意しており、
昼食の時間になると、
皆で分担して作ります。

昼食の後、紅茶を飲むため
お茶を沸かす準備をしているベテラン鉱夫。

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

私が訪れた時は、ちょうど昼食後で、
紅茶を飲みながら皆で歓談しているところでした。

食後の紅茶でホッと一息中^^

スリランカの宝石採掘場(鉱山)

紅茶を飲む時は、ティーカップ代わりに、
ココナッツの実を割って作られた入れ物で
飲んでいたのが印象的でした。
陶器は泥まみれになりますし、
割れたらゴミになってしいます。

ココナッツの実ならたくさんある上に、
土に戻ります。

こうして、緑豊かな自然を大切にしながら、
良心的なオーナーと鉱夫たちによって
EARTHRISEのジュエリーになる原石が
採掘されています。

次回は、スリランカの研磨工房の様子について、お届けいたします。

 

今回ご紹介した、弊社代表兼チーフジュエリーデザイナー小幡によるエシカル・コラムは、ジュエリー雑誌【Jewelit No.10】にて詳しくご紹介しております。

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