皆さま、こんにちは。
EARTHRISE代表・デザイナーの小幡星子です。

このたび、待望のアコヤ真珠を用いた
ジュエリーコレクションを発表いたしました。

この一つのアコヤ真珠に出会うまでには
本当に苦労いたしました。

EARTHRISEが創造するジュエリーは、
素材のもつ魅力や品質、
そして素材が生産される過程をとても大事にしています。

こちらでは、
美しい日本の四季と自然と人の手によって育まれる、
普遍の美しさを放つ【エシカル・パール】の背景を中心に、
モノづくりのこだわりについてもご紹介いたします。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)(ネックレス、ピアス)

アコヤ真珠の魅力

ジュエリーといえば、
ダイヤモンド、ゴールド、プラチナ。
そして、真珠。

アコヤ真珠といえば、
日本を代表する、
素晴らしい技術と自然が育んだ宝石です。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)

世界から見ても、
日本人はアコヤ真珠を愛する人が多いです。

アコヤ真珠は
ダイヤモンドのようにキラキラと輝く
華やかな宝石ではありません。

アコヤ真珠は
気品としとやかな雰囲気を感じさせてくれる
魔法の宝石です。

そして、
冠婚葬祭、
どのような場にもふさわしい演出をしてくれるのが、
アコヤ真珠の魅力。

この華やか過ぎず、静かな美しさが
日本人の心を掴んでいるように感じます。

かくいうわたしも、アコヤ真珠のファンです。

-真珠の似合う女性になりたい。

映画「ティファニーで朝食を」でオードリー・ヘップバーンさんが
真珠のジュエリーを身につけているシーンを見て、
子供の頃から真珠に憧れを抱いていました。

自然環境に配慮して養殖される真珠に出会うまで

EARTHRISEがつくるジュエリーは、
品質だけではなく、
人権・社会・自然に配慮した(=エシカル)素材であること。

ブランド設立から、妥協することなく貫いている、
ものづくりに対する精神です。

 

ダイヤモンドはオーストラリアやカナダから。

ゴールド、シルバーは南米から。

カラーストーンはパキスタン、スリランカなど、
様々な国から仕入れています。

 

日本にもジュエリーになる有名な素材があります。
それは、海から生まれる【アコヤ真珠】です。

 

ブランド設立時、
真っ先に国内のアコヤ真珠を仕入れたいと思い、
知り合いの紹介で神戸の真珠会社の社長へ相談をいたしました。

たくさん美しい真珠も見せていただきました。

ワクワクした気持ちでいっぱいでした。

 

「エシカルという理念は素晴らしい!
日本のジュエリー業界でもフェアトレードやエシカルといった考え方が
広がって欲しいと思う。
でも、残念ながら日本にある多くの養殖場は
エシカルとは懸け離れたところにある。」

 

1996年、九州の真珠養殖会社のアコヤ貝が大量へい死したことで、
フグ養殖で使用されているホルマリンによる人体や環境問題が
クローズアップされました。

魚には寄生虫が付着しやすいため、
フグに付着した寄生虫を駆除する目的で、
安価なホルマリンが大量に使用されていました。

しかし、ホルマリンがフグの身に残留することや、
処理後の廃水をそのまま海へ廃棄することによる
自然環境への影響、
周辺の魚介類への汚染が問題視されました。

 

そのきっかけとなった出来事が、
アコヤ貝の大量へい死でした。

 

アコヤ貝からはホルムアルデヒド(ホルマリン)が検出され、
フグ養殖で使用されているホルマリンが問題になりました。

ホルマリンは発がん性が指摘されており、
アレルギーを誘発する物質でもあります。

防腐剤に使用されているほか、
建材・塗料・家具にも使用されていたことから、
室内空気汚染によるシックハウス症候群
を引き起こすことで問題視されています。

どれもわたしがが学生時代にニュースで見聞きしていたものです。

そのため、現在の養殖現場はどのような環境に置かれているのか
疑問に思っていました。

残念ながら、
現在の魚類養殖の現場でもホルマリンが使用されていました。

そして、ホルマリンを使用している海で取れた魚を地元の人たちは食べない

さらに、大量生産しようと、たくさんの魚介類を養殖する。

そうすると、餌の食い残しや排泄物、ゴミが海底に沈殿して、
ヘドロになり海が汚れる。

海が汚れると、生き物は生きていけない。

貝も大量にへい死し、養殖が出来なくなる。

真珠が取れず、収入が得られないために廃業していく。

環境破壊を招くことで、結果として自分たちを苦しめる。

悲しいことに、この負のスパイラルは今も続いていました。

 

「海を綺麗にするにはどうすれば良いのですか?」

「養殖をやめること。
すべての養殖場がこのような状況ではないかもしれないが、
残念ながら環境に配慮している養殖場は見たことがない。」

 

衝撃的な事実でした。

 

海がどんどん汚くなり、貝が生きられなくなったため、
綺麗な海を求めて、新たな養殖場を東北地方につくっていることも初耳でした。

ただ、従来の方法で養殖を続けていると、海は汚くなる一方です。

そのような環境下で育ったアコヤ真珠を使うことに抵抗を覚えてしまいました。

 

世代が変わらないと自然環境への意識が変わらないのかもしれない…。

 

なんともやるせない気持ちになりました。

でも、きっとどこかに自然を大切に思い、人と自然が共生し、
持続可能な取り組みを行っている養殖場があるはず。

それから5年間、養殖場の情報収集や調査を行いました。

 

そして、ついに念願の養殖場に巡り会えました。

 

愛媛県の信号すらない小さな町にある養殖場。
ここでも過去にアコヤ貝の大量へい死があり、
地元漁業関係者へホルマリンの使用をやめるよう説得し、
継続的にホルマリン濃度を測るなど
環境改善に取り組みました。

その結果、元の美しい海に戻り、アコヤ貝のへい死もなくなりました。

海を囲む山々では
30年以上前から農薬の量を減らしたみかん栽培をし、
次世代に美しい自然を残すために地域一丸となって取り組んでいる
日本でも珍しいところでした。

 

日本を代表するブランドが扱う、
高品質なだけの真珠は簡単に手に入ります。

でも、高品質な上に、自然環境にも配慮して
人と自然が共存している養殖場で育まれた真珠に巡り会えることは、
容易いことではありません。

私が理想としていた、
それ以上に素晴らしい養殖場に出会え、
そこで育まれている美しい真珠を見た時は
感動もひとしおでした。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)のネックレス

この真珠のコレクションは、
身に付ける人も、
養殖場の生産者も幸せになれる。

そして、美しい日本の海と山の自然環境にも貢献出来るものです。

日本人として、これ以上嬉しいことはありません。

養殖場へ

2016年4月下旬、念願の養殖場へ。

羽田からLCCで愛媛へ。

空港から電車に乗り、
さらに車を走らせて6時間半の旅になりました。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場

車を走らせてしばらくすると、
美しい山々に囲まれた養殖場のある海が見えてきました。

前日までは天候が悪かったのですが、
ちょうど伺った日は晴天。

長袖では汗ばむような気候でした。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場

養殖場はもうすぐ。

あまりに海が綺麗だったので、
車を降りて浜まで歩いていきました。

透き通った海。人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場

透き通った海と穏やかな波の音がとても心地良く、
お話で聞いていたとおりの場所でした。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場

右側にも養殖場。
その奥の山にはみかん畑が広がっていました。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場

いよいよ養殖場へ到着。
ここから船を出して、アコヤ貝の世話をします。

養殖場ならではの独特の臭い匂いはありません。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖場の海。エメラルドグリーン

海底を見てみると、
透明度の高い美しい海なのが一目瞭然。

陽の光を受けて、より一層美しく見えました。
ヘドロもゴミすら一つも見えません。

この近くでは、美味しいタコが採れるそうです。
東京では高価なタコ。
地元ではタコにお金を払って食べたことがないそうで、
少し羨ましいお話でした。

養殖をしていると、貝にはフジツボや寄生生物が付着します。
定期的に海から貝を引き上げて、一つひとつ丁寧に掃除をします。
作業場の天井には作業で使う道具がぶら下がっています。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖

海から引き上げたアコヤ貝。

真水や濃度の高い塩水に貝を浸すことで、
貝に付着した海藻や寄生虫を除去する効果があります。

海の中だけで養殖するのではなく、
手間暇掛けて真珠を養殖しています。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の角入れ

真珠の元になる「核入れ」の作業
をしているところも見せていただきました。

大変繊細な作業にもかかわらず、
手慣れた手つきで、
次から次へと核入れをしていく職人技
に圧倒されっぱなしでした。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)の養殖

核入れ作業が終わると、再び海に戻されます。

核に真珠層が少しずつ付着してゆき、核入れから1〜2年が経つと、
アコヤ真珠になります。

アコヤ貝から取り出した真珠を見せていただいた時の
感動は計り知れないものでした。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)のカラー(色)

自然界のバランスが少し崩れるだけでも、
貝には大きな負担がかかります。

大型台風が上陸した時には莫大な被害が出ます。

真夏の太陽が照りつける中も、
手足が凍る真冬の時期でも、
我が子のように毎日貝の様子を見ては、
貝一つひとつの手入れをし、大切に育てています。

大変な苦労の末に出来上がる真珠の輝きは、
自然と生産者たちによって生まれています。

この美しい真珠を皆さまとシェアできるようになり、
本当に嬉しいです。

一人でも多くの方にお手にとっていただき、
この美しさを実感していただければと思います。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)が育つ山にはみかん畑

最後に、可愛らしい真っ白いみかんのお花を紹介。

農薬を抑えたみかん栽培を
30年以上も続けている、
自然豊かな地域です。

人と自然にやさしいエシカルなあこやパール(真珠)が育つ山にはみかん畑(無農薬)

この町には、
小鳥のさえずりと、
透き通った空気の中にみかんの爽やかな香り
が一面に広がっていました。

0.01mmの世界 モノづくりの真髄

念願のアコヤパールを仕入れることができました。
あとはジュエリーに仕立てるだけ。

人権と環境に配慮して採掘している、
南米産のフェアマインド(フェアトレード)認証ゴールド

フェアマインドシルバー
は仕入れて手元にあります。

しかし、ここでも壁にぶつかりました。

パール用のピアス金具をどう作ろう?

私が今まで持っていたパールのピアスには
構造上大きな欠点がありました。

構造上の欠点とは、
ピアスを耳から取り外す時に、
真珠がピアス金具から取れてしまったことでした。

強く引っ張ったわけでもないのに、
いとも簡単に取れてしまいました。

その後、修理に出したのですが、
再び同じアクシデントに襲われました。

そのうち、修理することも億劫になり、
ジュエリーボックスに閉まったままになりました。

OL時代、エシカルという概念は日本になく、
ジュエリーの知識もそこまでなかったため、
国内某メーカーの真珠のピアスを購入いたしました。
K18でお手頃価格で買えたため、
嬉しかったことを覚えています。

購入してから気が付いたのですが、
残念なことに「安かろう悪かろう」というピアスでした。

販売価格を抑えるために、
ピアス金具が細く小さく作られていたのです。

 

この苦い経験を克服したいと思い、
職人と構造を研究して生み出したのが
EARTHRISEオリジナル金具です。

パール(真珠)のピアス金具(他社との比較)

EARTHRISEで制作した金具の重さは、
国内メーカーの2倍以上

耳たぶに通す針部分もピアスを着脱しやすい長さに。
さらに、真珠をセッティングするための
針の長さも3倍以上にいたしました。

パール(真珠)のピアス金具(他社との比較)

真珠を受け止めるお皿部分も大きめに制作。

真珠をセッティングする針とピアスを耳に通す
針(スタッド)の間にある丸いお皿、
このお皿が真珠を受け止める部分です。

お皿部分を大きく制作することで、
真珠を金具にセッティングした際に、
真珠と針だけではなく、
お皿部分でも真珠を十分に固定出来ます。

セッティングされている部分の強度が倍以上
に増すことで、安心して使用出来ます。

 

ジュエリーというと、
真っ先に宝石に目がいき、
あまり気に留めることのない金具。

 

たかが金具、されど金具です。
たっぷりと金属を使うことも構造上重要な点です。

耳たぶに通す針(スタッド)部分にも一工夫。

耳たぶに太めのスタッドを通すと、
痛みを伴い、
ピアスを長時間付けていられなくなります。

そのため、耳たぶに通す針部分は
太すぎず細すぎず、絶妙な太さにしているため、
安定感となめらかなつけ心地の良さも特徴の一つです。

ピアス金具(ジュエリー)へ刻印

安いものには安いなりの理由があり、
高いものには高いなりの理由があります。

どうしても良い素材と良い金具を使用すると、
価格が上がってしまいます。

選ぶ基準は価格だけではなく、

長い目で見た時に、どちらが良いのか

ということです。

 

何度も何度も修理をすると、
お金も手間もかかります。

身に付ける人にとっても、
余計な負担をかけないためのモノづくり
も大切だと考えています。

そこが、EARTHRISEがモノづくりにこだわる0.01mmの世界です。

ずっとあなたに寄り添うジュエリーだから。

EARTHRISEのジュエリーが、
あなたの日常を彩るものになりますように。

ジュエリーデザイナー 小幡星子

Fairmined(フェアトレード)認証ゴールド、シルバー