こんにちは。
EARTHRISE代表・デザイナーの小幡星子(おばたしょうこ)です。

今回とても感慨深い、美しいジュエリーの物語をご紹介いたします。

「命」について考えさせられたり、
ご家族の温かい絆、前向きな生き方、
また、パキスタンでは陰ながら支えてくださり、
大変お世話になりました松浦家の方々との物語を、
皆様とシェアをさせていただければと思います。

世界のどこへ行っても、日本人が高く評価されるのは、
このような方々がいらっしゃるからこそだと思っております。
深く感謝申し上げます。

 

EARTHRISEでは、お客様が持ち込まれる受け継がれた宝石やジュエリーを用いて、
オーダーメイドやリメイク(リフォーム)のジュエリーを
制作させていただく機会が多くございます。

 

今回オーダーの際にお持ち込みされたものは、ご遺骨でした。

そして、個人的にもよく存じ上げている方のご遺骨でした。

 

近年、故人のご遺骨を身近に置いて供養する【手元供養】
をされる方が増えていらっしゃいます。
ご遺骨の一部を身近に置いておく、
もしくは、身に付けるという方も増えていらっしゃいます。

 

松浦家と出会ったきっかけは2年半ほど前、
パキスタンに研磨工房を設立しようと奮闘していた時のことでした。

当時、お仕事の関係でパキスタンの首都イスラマバード
に住まわれていた松浦ご一家。

お嬢様がパキスタンで採れる石を検索していたところ、
私が研磨工房を立ち上げようとしていた記事を
偶然ご覧になったことがきっかけで、
松浦家との交流がスタートいたしました。

海外出張はしても、現地に住まわれている日本人の方々との接点はもちろん、
出会うキッカケすら今までありませんでした。

それが、パキスタンという面白い国で出会えました。

 

当時、海外で起業することも初めて。
保守的な人が多い田舎での起業。
もちろん、周囲に日本人はいません。
言葉も文化もまったく異なる地。
地域によっては武装勢力の活動が盛ん。
本音を言えば、怖かったです。
けれど、現状を変えたい、「なんとかしたい!」
という想いだけで突き進んでいました。
周囲のパシュトゥーン人たちは大変好意的で、
「俺たちがショーコを守るぞ!」と言ってくれてはいても、
それでもやっぱり怖くて、
絶えず緊張していました。

 

そんな時に、同郷で、同じ言葉を話して、
考えも共有できるような方々と出会えることが
どれほど心強かったことか。

 

奥様の元子さまからは、陰ながらたくさんのサポートをいただき、
素敵なご縁をいくつもいただきました。

一家団欒をご一緒に過ごさせていただいている時は、
溺愛されていたお嬢様のお話になると
ご主人の頰が緩んでお優しいお顔に。
いつもお優しいご主人でしたが、
より一層ニコニコ〜と嬉しそうになされていました。

お嬢様も「パパが世界で一番好きー!」
と、まっすぐな性格。

ご夫婦はとても強くて温かい絆で結ばれていて、
本当に本当に素敵で、理想的なご家族でした。

 

工房設立時には、松浦家からご支援をいただいたお陰で、
研磨機を追加で1台購入することも出来ました。

現地のスタッフたちも大喜びでした。

 

松浦家は、以前赴任されていたパレスチナでも、
現地の方々へたくさんのご支援をされていて、
建てられた学校には「MATSUURA」のお名前が刻まれていました。

それだけ人々から愛されていました。

 

国際協力、支援、口で言うことは簡単です。
けれど、損得勘定を抜きに、
資材を投げ打って人々のために尽くすということは、
並大抵のことではありません。
それを、ごく自然に行える松浦ご一家。

そして、決してひけらかすようなことをなさらない。

こういう方々が、本当の意味で世界をより良くしてくださる。
とても尊敬しておりました。

 

いつか渡航レベルが下がったら、
スワート渓谷へご家族で遊びに・・・。

 

それが、今年の1月、ご主人の突然の訃報に接し、
言葉もありませんでした。
あまりに若すぎる死。お嬢様はまだ10才。

あの時、ご主人が手を振って送り出してくださったお姿が
最後になってしまうなんて、思いもよりませんでした。

 

ご主人の死は、日本にとって大きな損失でしたし、
なにより、残された元子さまとお嬢様にとって
これ以上ないほどの損失であったことと思います。

 

「死」は悲しいことですし、受け入れること、
乗り越えていくことも容易ではありません。
それが、愛する家族でしたら尚更です。

しばらくご一緒させていただいた私ですら
意気消沈しておりました。

 

その後、ご家族がご帰国なされ、ひと段落された時に、
ご主人のご遺骨を用いたジュエリーのご相談をいただきました。

 

久しぶりにお目にかかった元子さまとお嬢様。
ご主人がご逝去されて日も浅いのに、
故人を想いながらも、
前向きに日々を生きていらっしゃいました。
その強くて美しい生き方に、さらに感銘を受けました。

 

元子さまとお嬢様の人生はこれからも続きます。

その人生に、そっと故人が寄り添う。

これも素敵な「愛」の形だと感じました。

元子さまとお嬢様を心から愛していたご主人も、
きっと喜んでくださっていると思います。

 

普段から様々な想いでジュエリーをオーダーされる方の
お話をお伺いしておりますが、
メモリアルジュエリーには、
他のジュエリーとはまた違った尊さがありました。

 

それは、「想い」とともに、ひとつの尊い命が宿るジュエリー

であること。

 

そのメモリアルジュエリー(ご遺骨ジュエリー)が、
こんなにも明るくて前向きなジュエリーであること。

どのような時でも、
どうして人類の歴史から
ジュエリーが無くならないのか、
このメモリアルジュエリーを通して
改めて分かりました。

 

そういえば、私もジュエリーに深い関心を寄せたのは、
中学生の時に譲り受けた祖母の形見の指輪でした。

 

誰しも、いつかは訪れる「死」。
それは悲しみだけではなく、
故人を慕う人にとっては「支え」にもなる。

「想い」は、何ものにも代え難い
本当に尊いものです。

その「想い」を目に見える形に、
身につけられるジュエリーとすることは、
ごく自然の流れだと実感いたしました。

 

デザイン

メモリアルジュエリー(ご遺骨ジュエリー)

今回、元子さまとお嬢様に2つのジュエリーを制作させていただきました。

メモリアルジュエリー(ご遺骨ジュエリー)穂 sui ミルグレイン、アンティークリング

一つは、指輪。

「穂」をコンセプトにした普段使いしやすい
シンプル&クラシカルなデザイン。

ミルグレインが特徴です。

Pt950h(ハードプラチナ950)を使用いたしました。

「夫の遺骨を出来るだけ使って欲しい」
というご希望がございましたので、
強度の面を考慮しながら、指輪の内側に大きく溝を掘り、
パウダー状にしたご遺骨をジュエリー専用の樹脂
に混ぜて、指輪へセッティングいたしました。

メモリアルジュエリー(ご遺骨ジュエリー)リングの内側にご遺骨をお納めいたしました

ご主人はクライミングがご趣味で、
世界各国にクライミング仲間がいらしたり、
イスラマバードでもクライミングが出来る場所を開拓されたりと、
本格的なクライマーでした。
そのため、ご家族からも「ロッキー」と呼ばれていました。

メモリアルジュエリー(ご遺骨ジュエリー)リング内側へ刻印

そこで、ご主人のニックネームと元子さまのお名前を
指輪の内側へ刻印させていただきました。

 

もう一つは、ネックレスチャーム(ペンダント)。

ご遺骨ジュエリー(オリーブ)

K18YG(K18イエローゴールド):
フェアマインド認証(フェアトレード)ゴールドを使用。

チェーンネックレスは、チャームを交換出来る
EARTHRISEオリジナルのもの。

パレスチナといえばオリーブ。
EARTHRISEの店頭にはシンボルツリーとして
オリーブの木があります。
お嬢様がオリーブの葉の香りをかいだり、
ご家族で駐在されていた頃の出来事や、
オリーブのお話をしてくださいました。

そこで、もう一つのご遺骨が綺麗な形をしていたため、
ご遺骨の形を活かして、オリーブ葉をデザインいたしました。

ご遺骨ジュエリー(オリーブ)

オリーブの葉の表面には、
イタリアの伝統技法をアレンジし、
強弱のあるオリーブの葉脈をお入れいたしました。
光に当たると、ゴールドのやさしく瞬く表情が魅力的です。

まるで、オリーブ畑にさんさんと降り注ぐ、太陽の光のよう。

オリーブの葉の裏面には、ご遺骨を見えるようにお納めいたしました。
ご遺骨のセッティングには、指輪と同様に、
ジュエリー用の樹脂を使用しております。

オリーブの葉の側面には、
お嬢様のご希望で、大好きなパパの命日と
パパのニックネーム&お嬢様のお名前を刻印いたしました。

ご遺骨ジュエリー(オリーブ)

こちらのジュエリーは、お嬢様がもう少し大きくなったら譲られるご予定で、
しばらくは元子さまがご愛用くださるそうです。

 

ご遺骨ジュエリー(ガラスドーム)

さらに、お預かりしたご遺骨をパウダー状にしたものを
ガラスドームにもお納めいたしました。

 

大切なご遺骨をお預かりし、
お時間をかけて制作させていただきました。

 

納品時、お二方にはとても喜んでいただき、
少しばかりではございますが、恩返しできたかな・・・と思います。

 

お客様の声

松浦元子さまより、有り難いお言葉を頂戴いたしましたので
掲載させていただきます。

今年1月、パキスタンにて 夫がくも膜下出血で逝去。それは突然の出来事でした。

帰国後、夫の骨壷をこっそり開けて2つの小さな遺骨のカケラを取り出した娘。最初は直視することさえできなかった私ですが 実際手にとって遺骨を眺めみると、真っ白でキレイ。そしてすべすべした肌触りでびっくり!

「お父さんの遺骨のカケラ、持っていようか」

娘と相談し、結局その二つのカケラを持ち帰ることにしました。

その帰り道、ふと思いついたのが「Earthriseでアクセサリーにしてもらおう」ということ。

実は、Earthrise代表小幡星子さんとの出会いはパキスタンがきっかけ。私たちが暮らしていたパキスタンで破天荒ながらも(笑)起業し工房まで開いてしまった小幡さん。その小幡さんと現地で初対面。交流を重ねるうちに、私はすっかり小幡さんの大ファンに・・・。いつしか、心から尊敬する女性になりました。

小幡さんだけでなく、Earthriseジュエリーの大ファンにもなった私。夫におねだりしていくつか買ってもらったのもEarthriseのジュエリー。中でもパキスタン産のダイアモンドクリスタルを使ったピアスは大のお気に入り。今ではEarthriseジュエリーは自分のファッションに欠かせないアイテムの一つになっています。

そんなこともあり、パキスタンを最期の地として選んだ夫の遺骨でアクセサリー製作をEarthriseにお願いするというのは、私にとっては自然な流れだったのです。

小さな遺骨のカケラ2つ(おそらく指の骨)。それらを携えEarthriseに行った日。私たちの話にじっくり耳を傾け、デザイン案をいくつか出してくださった小幡さん。そして傍らにはベテラン職人植村さん。二人が親身に相談に乗ってくださったので、不思議なほど穏やかな気持ちで遺骨アクセサリーを注文することができました。

そして完成したのが指輪とオリーブリーフのペンダント。”遺骨アクセサリー”という重々しいイメージはゼロ。むしろつけると気分がアップ。思いっきりオシャレして外に出かけたくなる、、、。そんな気持ちにさせてくれる魅力溢れるアクセサリーでとても気に入っています。

ちなみに、私たち家族がパキスタンに引っ越す前に暮らしたパレスチナは、オリーブの国。町のあちこちにオリーブ畑がありました。オリーブ石鹸、オリーブオイル、オリーブの実、オリーブの木工品など、オリーブ関連商品はいつも身近にあり、私たち家族の思い出はオリーブの中にたくさん詰まっていました。

夫の遺骨のカケラ一つを見て

「オリーブの葉っぱにとても似ていますね」

と小幡さんがおっしゃった時、小幡さんは私たちの気持ちを100%理解してくださっていると感じました。

夫の遺骨を粉砕することなく、そのままの形を活かしてオリーブリーフにデザインしてくださった小幡さん。そして、私たちの大切な思い出を細やかで丁寧な手仕事でカタチにしてくださった植村さん。お二人には心から感謝しています。本当にありがとうございました。

 

 

本日は、お嬢様の授業参観日とのこと。
元子さまはこちらのジュエリーを身につけて、
ご主人とご一緒に授業参観されるそうです。

 

今回は、いつもとはまた違ったジュエリーの背景にある、
心温まる家族の物語をご紹介させていただきました。

 

末筆ながら、ロッキーさんの心からご冥福をお祈りいたします。

そして、これからの元子さまとお嬢様の人生が
より実りある素晴らしいものとなりますように。

 

愛と感謝の気持ちをこめて。
代表・デザイナー 小幡星子